COMMENT

又吉直樹 /作家、芸人

素晴らしかった。
雪景色が世界の余白ではないように、記憶が無いという状態も、忘却することによって埋められた場所なのだろう。
それを掘り起こし、真実を見ようとする危険な行為が当事者に何をもたらしたのか、ご覧いただきたい。

瀬々敬久/映画監督

東北、雪、赫い記憶、若い頃読んだ推理小説を再び手にしたような感覚。だが、この切なさは何なんだ。
過去が現在を次々と侵食していき、類まれな興奮を呼ぶ。油断していると大火傷するぞ。

前田司郎/劇作家

美しく配置された物々が人々の気味悪さを、雪原の赤のように際立たせる。菜 葉 菜さん最高 。

行定勲/映画監督

深雪に朱く滲んだ点が揺れる不穏な像に引き込まれ、俳優たちの鬼気迫る演技に私の中の真実は最後まで翻弄された。

加藤正人/脚本家

日本映画界の貴重な女優、菜 葉 菜が、満を持して主演デビューを果たした。錚々たる俳優陣に囲まれ、期待通りの演技で主役を演じ切り、見事な存在感を示した。脇役として実績を積み、実力を磨き続けて来た努力の賜物だ。

廣木隆一/映画監督

サスペンス映画は改めて役者の芝居が生み出すものだと思い知らされる作品。是非、多くの人に観て欲しいです。

akiko(ジャズシンガー)

かつてから日本の傑作映画が持っていた、陰鬱さとやるせなさ、そして生々しさと美しさ。
それはまさしく東北地方に降る重く湿った雪と、朦朧と燻んだ血の赤のよう。
一体、あの可愛らしい女性監督のどこにそんなドロっとした感情が潜んでいるのか、私は不思議でなりません。

ホラン千秋/女優

30年前の事件ーー。
その渦中にいた早百合を演じた菜 葉 菜さんとは長く親交がありますが、彼女がここまで心をむき出しにして「早百合」に挑む姿には、恐怖すら感じました。
「赤い雪」を観て、不運だったのだと。そう自分の中で結論付けたあと、思うのです・・・私たちも、不都合な現実から目を背けて生きてはいないだろうかと。

篠原哲雄/映画監督

この映画のただならぬ迫力、圧倒的な肌触りの気持ち悪さは女性監督ならではの意地悪さからきたのか?
赤い点がいつしか何事にも御しがたいシミに広がる様な感覚は寒々しく、美しい。

古賀俊輔/映像プロデューサー

人間の記憶と存在、やがて豪雪がそれらを消し去ってゆく。全ての才能と全ての自然を味方につけた甲斐監督の手腕に脱帽。彼女が「赤い雪」でデビューした強烈な記憶はきっと消えることはないはずだ。

鎌田義孝/映画監督

地球のうねりを描こうとしたような*赤い雪*の作品世界、好きです。雪の中、もがき闘っていた菜 葉 菜ーー、
その本能的で美しい姿に、深く撃たれました。ずっと疾走して来たんだろうと想う。
死に切れず、生ききれず、ボンクラな日々の俺に、とても沁みました。

岡野真紀子/wowowドラマプロデューサー

映画の素人である私が感想を述べるのはとてもおこがましいですが、この作品と出会い、観るもの感情を抉る作品と言うのは、深い台詞と、最高の芝居と、力強い映像と、感情を揺さぶる音楽があれば説明など何もいらないのだということを実感させられました。まさに、五感で衝撃を受け止める作品です。作品創りの価値観をも変えさせられる、そんな映画でした。

中島由貴/NHKチーフディレクター

菜 葉 菜をスウェット女優と呼びたい。そう言えば、以前ドラマに出演して貰った時もスウェット率が高かった。
私好みの俳優は、その場の空気を吸収出来る人。そう、彼女は吸収率の高い女優なのだ。吸収する女優が、省略する監督の元で格闘している。惚れ惚れする。

音楽家・音楽プロデューサー  木村達司 (dip in the pool)

赤い雪はとてもユニークな映画である。
様々な価値が幾層にも混じり合う映画や音楽という表現において、一番大切なのは、ユニークであること、だと思っている。
ユニーク=内宇宙を深化させる行為の果てに、不可欠な才能と当たり前の努力とちょっぴりの幸運を持った作品だけが、光を帯びて外宇宙=普遍性へと裏返る。
その過程こそが表現の醍醐味であり、表現者の愉悦であろう。

武藤 洋/音楽プロデューサー

ヴァーチャルリアリティで没入感と言う言葉があるが、この映画の印象はまさにそれだった。オープニングからスクリーンに吸い込まれる。映画を見たと言うより体験したと感じた素晴らしく不思議な時間だった。

杉本凌士 /演出家

人間は理屈ではない。人生に道理などない。と心に深く突き刺さる名作。圧倒的な映像美の中、俳優達の泥臭い演技にじわじわと心が侵されていく。甲斐さやか監督の類まれなる才能に我が世界観は叩き壊された。

松塚しのぶ /コピーライター

消えた記憶、消したいけれど消えない記憶、
閉じ込めているうちに、失った記憶。
さまざまな記憶が複層的に描かれて
どれが真実なのか、観ている側が彷徨い始める。
不思議な感覚を体感した、初めての映画です。

木村紅美/小説家

加害者と被害者、記憶と嘘の境界線の溶けた、山形のさむざむとした灰色の海辺の町で心を殺し生きるヒロインから目が離せない。罪を隠し降り積もる雪の白、滴る赤。時間の迷路へ誘いこまれ、痛々しくも暗さが病みつきになる映画。

映像プロデューサー・札幌国際短編映画祭アジアンショート・プログラミングディレクター/麻生榮一映像プロデューサー・札幌国際短編映画祭アジアンショート・プログラミングディレクター/麻生榮一

もう一度観たい、観なければと思わせる映画。ファーストシーンは美しく、夢のような、遠い記憶のような、鋭い刃物が隠されているような事実なのか、久々の感覚だった。
監督の妥協なきシーンの連続。1つ1つのシーンが積み木のように積み重ねられ崩れていく。1960年代の映画のような感覚である。謎はどんどん膨らみ、気がつくと役者の激しく、鋭く、重い演技そしてストーリーに引きずりこまれていた。
「圧巻だ」「ため息がでるくらい役者の吐く息が素晴らしい」「この役は他の役者には譲れない」
そんな声が聞こえてくる。骨太の台本と演出した甲斐監督に大きなエールを送りたいです。

坪川拓史/映画監督

嘘を持たぬ人間はいない。罪を犯したことのない人間もいない。
人は心の中に、自分だけの、決して融けない解けない雪を降り積もらせながら生きている。
思考停止状態で観られる作品が溢れる昨今にあって、映画が本来持っている力を最大限に信じて描かれた作品世界に魅了される。
キャスト陣の素晴らしさに、しばし演技であることを忘れた。